10/7、連休中日にちょっと遠出して岡田美術館へ。
「―開館5周年記念展― 美のスターたち ―光琳・若冲・北斎・汝窯など名品勢ぞろい―」展を鑑賞しました。

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こちらの美術館は以前もこのブログに書きましたが、関東屈指の観光地、箱根にあるのでございます。
遠いわ!(`ε´)ぶーぶー

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なので、元気で翌日もゆっくり休める連休中日に行きたくなるんですよね。
ただ、それは世の日本人たちが等しく考えることでもあるので、道中はとても混んでいると。
小田原駅のバス停のお姉さんが言うので急遽箱根登山鉄道で小涌谷駅まで行って歩くことにしました。
だったら新宿からロマンスカーに乗るんだったな。
(ロマンスカー内のパリピに悩まされて以来、JRとバスで行くことにしている。)

幸い、小田原⇒箱根湯本、箱根湯本⇒小涌谷は電車がすぐ来てくれてスムーズに進みました。
さすがバス停のお姉さんの言うことは正しい。

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かなり混んでいましたがスイッチバックも車窓からの眺めも楽しみました。
小涌谷駅から岡田美術館までは徒歩15分。

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上り坂です。
この日は台風の影響で暑かったので大変でしたが眺めは良かったです。

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予定より大幅に遅れて到着。
この感じだと早めに帰路についた方がいいと思ったのでスピードモードで鑑賞することに。
いつも展示されているアジアの陶磁器系や埴輪などは何度目かの鑑賞なのでパス。
美のスターたちを中心に見ていくことにしました。

余談になりますが、岡田美術館は美術館という名の観光地・・・なんですよね。
それは箱根という土地にある以上仕方のないことで。
この日も観光バスツアーの団体様と鉢合わせorz
いえ、イイんです。連休中日なのに静かな方が潰れてしまわないか、心配になるんで。
問題なのは、美術に興味のない方もいらしているので、展示作品への集中力と愛情がないこと。
簡単にいうとマナーがなってない・・・。
それでも今までは苦笑い程度だったのですが、今回はせめて入り口で「大声はお控えください、走らないでください」くらいの注意はあってもいいかなと思いました。
岡田美術館は展示室内に係の方がいらっしゃらないので完全自由行動なのです。
おしゃべりはやり過ごせばよいのですが、走るのは勘弁してほしい。
(ちなみに走って大声だしてたのはいい大人です。50~60代の女性で。「お父さ~ん!!!ここよー!!ここー!!」と(笑))
カメラ・ケータイを持ち込んでないか、危険物持ってきてないか金属探知機と持ち物検査はばっちりだけど、肝心の展示物が倒れたら大変よー(;´Д`)
ま、さすがに鑑賞者が走った程度で倒れるようなことはないと思いますが・・・でもヒヤヒヤしたわ。
この件についてはあんまりだったので後日館に問い合わせしてみようかなと思っています。



はい、そんなことはおいといて展示作品についてまとめていきます。
「開館5周年記念展」と題している通り、有名な芸術家たちの作品のオンパレードでした。
※フライヤーの画像だけでなく、岡田美術館の過去展覧会の宣伝tweetも引用します。


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最初は「仁清と乾山」展で鑑賞した3作品についてです。


これはほんとにきれい。
金と白と緑のみなんですけど飽きないのは菊の花と葉っぱのリズム感なのかな。


「色絵竜田川文透彫反鉢」(尾形乾山・作 神奈川・岡田美術館 重文)
こちらの作品は「名作誕生」展でも鑑賞しました。

ちはやぶる 神代も聞かず 龍田河 からくれなゐに 水くくるとは
(ちはやぶる神話の時代でさえありはしなかったでしょう。 竜田川の水を唐紅色に絞り染めするなどということは。)

を鉢にしたものです。
この作品、鑑賞するのは今年3回目。
何かとご縁を感じます。
(その実態は岡田美術館は結構この作品展示してくれてるというだけなのですが。)


「色絵輪宝羯磨文香炉」(野々村仁清・作 神奈川・岡田美術館 重文)
控えめな柄が弟子の乾山とは異なっていて、師弟なのに個性を殺さないところが日本の芸術家には、珍しいなと思いました。

さて、尾形光琳といえばこちらも展示されていました。
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「雪松群禽図屏風」(尾形光琳・筆 神奈川・岡田美術館)
松の描き方が琳派ですねぇ。
水辺のあたりも決して写実的には描かず、デフォルメをする。
これを評価できるようになった自分を誉めてあげようと思います。
このblogを書くようになって、ほんとに成長した。

展示順のレポートになっておらずすみませんが、次は琳派つながりで

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「木蓮(春園麗華)」(速水御舟・筆 神奈川・岡田美術館)
えーと、この作品は大正時代に描かれたものですが速水御舟は琳派の影響を受けていたと以前学びました。
山種美術館の【特別展】「琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―」で。
江戸時代に活躍した琳派の絵師たちの作品に比べるとこの絵はなんだか地味ですし、写実に寄ってるような気がしますが、彼の他の作品なども勉強しておくと、この作品も木蓮の花のリズム感(1つのお題の繰り返し)が琳派風かなと思いました。
・・・こじつけっぽいけど。

そういえば、琳派に影響を受けた画家の作品が他にも展示されていました。
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「霊峰一文字」(横山大観・筆 神奈川・岡田美術館)

こちらの作品も落ち着いているので琳派の雰囲気は少なめですが、大正時代の大観は「秋色」「群青富士」など琳派を意識したような作品を残しているしな・・・なんて考えながら鑑賞しているとやっぱり富士山の描き方はデフォルメされていて絵画というより図案のよう。
大正時代の大観の絵が好きな理由はやっぱり琳派のエッセンスを感じるからなのかなぁ。
・・・これもこじつけっぽいけど。

さて、デフォルメと言えば江戸時代の浮世絵でしょう。

「東海道五十三次 箱根 湖水図」(歌川広重・筆 神奈川・岡田美術館)

デフォルメされた浮世絵といえば昨年からちょこちょこ登場している葛飾北斎ですが、今回は歌川広重の東海道五十三次も中々なものです。
山の切り立ち方のクセ!
そしてそこを進んでいく大勢の人物。
あるんだかないんだかわからない奥行。
日本の絵画だねぇ。
そして湖面のベロ藍によるグラデーション、と学んだ知識が総動員されてきて楽しく鑑賞しました。

次に、浮世絵と言えばこちら
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「深川の雪」(喜多川歌麿・筆 神奈川・岡田美術館)
喜多川歌麿の肉筆の浮世絵。
岡田美術館の至宝ですね。
縦198.9㎝×横341.1㎝とかなり巨大です。
大画面の中にたくさんの女性たちがめいめいに遊んだり支度したりしていて賑やかでおしゃべりの声が聞こえてきそうです。

浮世絵というと版画のイメージが一般的だと思いますが、そもそも浮世絵の"浮世"とは"今風の"とか"イケてる"みたいな意味で版画という意味は入っていないわけですねー。
版画になったは浮世絵を商売として成り立たせるための手段なわけですね。はい。

やっぱり、版画と違って色がはっきりとしていて線もきりっとしている。
もちろん傷み具合や修復の有無にもよるんでしょうけど、大衆向けの版画と異なり、高級な紙に描いてるんだろうなということは容易に想像つきます。
なんか輝いていました。
これまで何度か岡田美術館には来ていますがこれまで複製画しか鑑賞したことがなかったので、今回訪れた一番の目的でもありましたので鑑賞出来てほんとに良かったです。
こちらは年内、12/28までの展示です。

さて、次。美人画と言えばこの方でしょう。
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「汐くみ」(上村松園 神奈川・岡田美術館)
相変わらず美しい・・・・。
描かれた時代が全然違うので一概に比べられないですが、喜多川歌麿のような男性画家が描くとエロス方面が強めに出てしまうのですが、松園の絵は清らかさが前面に出てくるので安心して鑑賞できます。
憧れる・・・・こんな女性に産まれたかったよ・・・・。
この作品は画面上部が空いているところと海水を入れているんであろう桶が見切れているところもポイントですね。
想像力と動きを感じます。
日本画は写実的な描き方をしない分、構図の工夫やデフォルメが発達したんだろうなー。
西洋画でこういう見切れってあんまりないですよね?
管理人が知らないだけかもしれないのですが・・・。

鏑木清方の絵とお隣同士で展示されていたのも個人的にはテンション上がりました。
どっちも美人で目の保養でした。

そしてお次が一番人気の作品

「孔雀鳳凰図」(伊藤若冲 神奈川・岡田美術館)

以前のtweetを引用しているので紛らわしいのですが、2018/09/30~2018/10/10、2018/12/29~2019/03/30で展示されるそうです。

もう、さすが。
羽根の透け感は「名作誕生」展でも観た通り。
そして描きすぎるところも(笑)
ぶら美に出てきた学芸員さんによると、若冲は余白が下手だってw

でも個人的にはその脇の目立たないところに展示されていた「月に叭々鳥図」みたいなのが好きなんですけどね。
人だかりのできている「孔雀鳳凰図」ほっぽらかしで「月に叭々鳥図」と見つめ合う管理人。
背景は上部に月が描いてある意外は真っ白。
余白・・・というか何も描かないか、めっちゃ描くかどっちかなのかいw


・・・という感じでスターたちが出るわ出るわ。
お宝ざっくざくでどう整理したらいいかわからなくなってしまいました。
観たものリスト作成しただけになりましたが、展覧会は大変楽しめました。

3月いっぱいまでやっているそうなのでもう一回行こうかな!
それまでに図録を買うか否か決めよう。

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鑑賞後は急いで帰りたかったけどやっぱりこれを観ながら足湯に浸かって

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コーヒーフロート。
帰りはすぐに来てくれたバスに乗ったんだけどやっぱり渋滞にはまって大変でした(笑)